俺には世界が白と黒に見えるのだと彼は言う
羨ましいだろうと誇るように彼は言う
私の世界に、色はない。
サンタクロースが死んだ夜
僕はかなしい夢をみました
かなしいかなしい夢でした
それは抱擁とでも形容したくなる受容
愛す事で愛されようとした彼の打算の
なんと愚かで愛しいこと
そんなはずはないと言い聞かせたのに
幻聴の聞こえる夜があった
怒声も物の割れる音も
発する人はもういないというのに
包帯を巻いて覆い隠し
抉れた傷を覆い隠し
大げさな事をと眉をしかめるが
しかしこんな傷は見せちゃいけない
醜いから霞むように生きるのです
美しいから誇るように生きるのです
それは愚かな事ですか
彼の為に殺したのです
それなのに彼は泣きました
泣いて怒って何故だと責めて
私は悲しくなりました
良しなに、と頭を下げた君は凛と水のように美しく
だからその清流に血を垂らせばさぞ綺麗だと思ったのに
からんからんと足音響く
そこのけそこのけ彼女が通る