短文お題

[創世記]
言葉で世界は作られた(光あれと、)
世界簡単七日間クッキング
神の真意は語られぬ

[人類創造]
二つになどならなくてよかった(そのまま貴方の脊髄で居れれば!)
私が神を模して作られたならば、神とは何と愚鈍な事か

[楽園追放]
果実と共に罰を得る(けれども愛を知ったのです)
知識を得たのは間違いだった
地を這う事さえ望んでいたのだと蛇が言う
赤く、丸く、ああ美しい!(禁断の果実!)
労働と生みの苦しみ(しかしそれにさえ悦びを見る)

[カインとアベル]
人類最初の人殺行為とそれに基づいた嘘(死の赦しは奪われた)
愛された弟がにくかったのだ!(おとうさ、ん)
弟は喋らない

[ノアの箱舟]
喉を嗄らせど誰もが死んでいく(いい気味だとは思えなかった)
箱舟乗船権獲得選抜試験

[バベルの塔]
天高く貴方に触れたいと願い、(受けた報いは分散の罠)
君の言う事がわからない、(無知こそ悲しき)

[その他、旧約聖書]
血肉を分けた子供すら、貴方のためなら殺しませう

[救世主処刑]
その時までに君は三度、僕の存在を否定する
キスから始まる崩壊に、
ただ許しを与えたまえ

[イザナギとイザナミ]
愛している、と(それは男が言うべきだった)
望まぬ子供を船に流す
死んだ君に会いたかった、(醜い君は愛せなかった、)
消えてしまいたかったのです(例え無理でも心は見えぬ)
楽しい調べに描いた幸せ(偽りだとも知らずにいた日)

[イワナガヒメとコノハナサクヤビメ]
美しさと共に刹那を得た
醜さと同時に永遠を捨てた
醜い生も麗しの死も、(どちらも同じだったのです)
炎の中に真理は宿る
疑うのならば焼かれて照覧

[ヤマサチヒコとウミサチヒコ]
君は僕から物を奪った(その上幸すら奪うのか)
千の紛いより本物が欲しい

[オオクニヌシノミコト]
幾度と無く死を給ふ
助けられ、助けられ、助けられた

[天孫降臨]
さあお退き、世界の主は私なの

[人体を形成する汚物に愛を]
内臓の軋む音に抱擁
胃液塗れの君とワルツ
砕けた骨の垣間見た真実
人肉に愛を
関節から切り離せば君を受け入れられるだろうか

[神の存在を言えるか]
ハローハロー、神様告白のお時間です
十字架を食む
神への求愛
教会で唄われた淫声
後悔の無い懺悔

[愛に対する似非哲学、汝愛せるか]
愛してなるものかと僕は君に口付ける
肉欲的な情動果たしてそれを愛と呼ぶのか
愛などいらぬと嘯いてみる
純粋な愛を望む人は多いはずなのに、人々は仮初に愛し合う
銃口という死を目前に、僕は愛の歌を歌う

[曖昧を実感する日]
朝になって目が覚めて夢が始まる
陽炎のもたらした希望
半分溶けた君にキス
街には霞がかかってる
言葉は空気に留まらない